ドヴォルザーク チェロ協奏曲 フルニエ / クーベリック / ウィーンPO

  1. 2011/02/28(月) 03:03:50|
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1954年のモノラル録音。

フルニエは1962年にセル / ベルリンPOと同曲を再録音していて、わたしにとってお気に入りの演奏。作品のすばらしさを堪能するなら1962年盤と思う。

一方、「チェロの貴公子」と呼ばれたフルニエの個性は1954年の録音の方が顕著と思う。

録音方法に因るのだろうけれど、独奏チェロの音が前面に出ていて、細かい表現までが鮮明に聞き取れる。わざとらしいくらいで、ソロとバックの一体感は損なわれているかも。が、そのおかげでフルニエの妙技をつぶさに楽しめるのだから、痛し痒しというところか。

繊細で品の良い歌いっぷりながら、フレージングは引き締まって歯切れがいい。細身ではあるけれど、ひ弱ではない。
というか、確かにそこはかとなく気品が漂っているけれど、そればっかりの演奏ではない。フルニエがやろうとしているのは、旋律楽器らしい線的な流れを保持しながら、楽曲を極限まで明晰に表現することではないだろうか。知的でシャープなアプローチであって、わたしはこの演奏によって、楽曲についていくつかのことを気づかされた。
端正で節度を保っているけれど、やっていることは先鋭的かつ個性的。そのぶん聴き手を選ぶ度合いは高くなりそう。

個人的に、この作品にはスケール感とかおおらかさを期待するのだけど、乏しいというよりそういうものを狙っていない。

演奏の主導権はフルニエが握っている感じだけど、クーベリックの伴奏は充実している。ウィーンPOからしっとりとした美音を引き出し、フルニエのクールな質感に、うるおいをもたらしている。フルニエのソロに見合う細やかさを持ちながら、出過ぎない範囲で十分に力強い。