シューベルト 交響曲第7番『未完成』 ワルター / ニューヨーク・フィルハーモニック

  1. 2010/10/15(金) 09:04:52|
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1958年の録音。ステレオ録音。

モノラル録音でも精緻なアンサンブルの魅力は歴然だったが、鮮明なステレオ録音により細やかなニュアンスは格段に引き立っている。いや、おそらく生演奏以上にディテールが浮き上がって聞こえるから、人工的な繊細感と言うべきか。

ゆったりと安定したテンポの上で、音の動きの1つ1つが鮮明に、そしてこれ以上ないくらいニュアンスたっぷりに編み上げられる。
強奏の場面でも秩序は崩れない。パワー開放による爽快感は乏しいが、それなりの力強さと量感を伴って克明に鳴る。

特別仕様の楽譜で演奏していると錯覚をしてしまうくらい、ディテールは美しく磨かれている。未完成交響曲らしいかはともかく、ワルターの芸格を見せ付けられる。
こういうマニアックに耽美的な行き方に共感するわけではないけれど、それでもこの演奏で示された表現力はすごいと感じる。ここまで徹底されると、演奏芸術における1つの極致と感じる。

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耽美的で巧緻で細部肥大型だけど停滞感はない。このあたりはワルターのキャパの大きさで、それぞれの楽曲の持ち味と自分の美学との折り合いの付け方を心得ている。
とはいえ、しなやかな流動感とか若々しさは実感しにくい。特にスローな第2楽章は、はじめはうっとりと聴いていたけれど、だんだんじれったくなった。