モーツァルト 交響曲第38番「プラハ」 アバド / モーツァルト管弦楽団

  1. 2012/08/14(火) 15:01:50|
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2006年のライブ録音。

アバドが創設したピリオド楽器のオーケストラ、モーツァルト管弦楽団とのライブ録音ということで、アバドがどんなモーツァルトを聴かせるかという興味は当然だけど、既存のオリジナル楽器によるモーツァルト演奏を判断する尺度としても興味深い。何しろベルリン・フィルの芸術監督にまで上りつめた巨匠が同じ土俵に乗ってくるのだから。


ピリオド楽器は音色の豊かさが乏しく減衰が速い。表現力の幅の面では不利だけど、響きがダブつきにくいぶん肌理のはっきりとした演奏が可能になる。ピリオド楽器のオーケストラ演奏では、大なり小なりそういうことが意識されていると思う。
しかしここでのアバドは、楽器にふさわしい奏法をとっているらしいのだけど、音楽の肌理を聴かせるより、厚みのある音響とブレンド感の高いアンサンブルを狙っているようだ。
おかげで、ピリオド楽器のオーケストラ演奏としては豊かな響きを獲得できていると思う。ことさらにピリオド楽器らしさをアピールしようとせず、自然体で自分の音楽をやっているということなのかもしれない。

が、既知のピリオド楽器演奏のいくつかと比較すると、ある種の鈍さを感じなくもない。
厚い低音や個々のパートの輪郭の甘さゆえに、彫り浅く感じられるし、音楽の肌理をくすませているようにも聴こえる。やや息苦しい。

基本的には熱気あるいい演奏と思うけど、うまい折衷なのか中途半端さなのか判然としない面がある。ということは、アバドの試みに対してもうひとつ清新さを感じられていないのだろう(わたしが)。