マーラー 『大地の歌』 ホーレンシュタイン / BBCノーザン交響楽団

  1. 2013/01/01(火) 06:00:00|
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1972年のライブ録音。BBC LEGENDSによるステレオの正規盤。この年代の正規盤にしては鮮明な音質ではないかも。が、鑑賞に障るほどではない。



ゆとりのある安定したテンポ。足取りは淡々としていて、聴き手を煽る風はないけけれど、音の流れや変化が克明に、粘っこく、陰影たっぷりに描き出される。

表情の一つ一つは耽るように濃いけれど、指揮者自身が陶酔し没入している感じではない。サウンドは常にコントロールされているし、ノリに任せることもない。陶酔的な、浸り耽るような音楽を、知的な統制と強い集中でもって織り上げていく感じ。

響きは明解。良好とは言いにくい録音にも関わらず、各パートの動きや複数パートのコンビネーションは手に取るよう。サウンドは濃厚どころかクリアな感触だけど、それぞれのパートが粘っこく歌い上げながら絡み合っていき、濃い表情とか空気感を生み出している。

恣意的な感情移入というより、マーラーが音の一つ一つに託したであろうニュアンスを、のめり込むようにして掘り起こしていく感じがする。芝居っ気や演出めいた感触はない。

圧巻は第6楽章で、聴き進むうちに、溢れ出してくる想念とか妄念に押し包まれるような心持になり、茫然としてしまった。ヘヴィだ。



オーケストラが上手ければ上手いほど効果が上がりそうな解釈。もっと機動力があって、艶やかな響きを持つオーケストラとの協演であれば・・・と思わなくはないけれど、ホーレンシュタインがやろうとしていることは、音として確実に伝わってくる。

独唱の二人は、格別印象的ということではないけれど、ホーレンシュタインの意図を汲んだ歌唱と感じる。特に第6楽章のアルトはオーケストラと調和して、ホーレンシュタイン・ワールドの醸成に貢献している、と感じた。