メンデルスゾーン 交響曲第3番『スコットランド』 カラヤン / ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

  1. 2012/09/30(日) 14:33:43|
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1971年のセッション録音。

管弦楽の線的な運動性や綾を聴かせるよりも、塊としての音響を自在にコントロールしていく。
メンデルゾーンの響かせ方としては肥大気味かもだが、艶やかかつ涼やかなサウンドのおかげで、息苦しさを感じない。

『スコットランド』交響曲の書法は、メンデルスゾーンの音楽らしく端整で肌理が整っているけれど、この楽曲を特徴づけるのは抒情的で親しみやすいメロディの多用だと思う。
カラヤンの、音楽の横の流れに重きを置いて、メロディを美しく際立たせつつ連綿とつなげていくやり方は、楽曲の持ち味に呼応していると思う。

ただし、メロディアスな抒情性を思いっきり強調し、そこに美音をまぶして甘ったるい味付けを施しているから、この交響曲を実態以上に「耳当たりの良い手軽なオーケストラ・ピース」っぽく感じさせるきらいはある。

ベルリン・フィルは抜群にうまいけれど、上手いとか下手とかの次元を超えて、独自の美的音響世界を確立している。「最高級のポップス・オーケストラ」という感がなきにしもあらず・・・だけど。

J.S.バッハ ゴールドベルク変奏曲 マレイ・ペライア

  1. 2012/09/28(金) 06:00:00|
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2000年のセッション録音。

反復の指示を励行したピアノによる演奏で、演奏時間は約73分。

表現力と音量でチェンバロを圧倒するピアノだけど、これはチェンバロのために作られた楽曲なので、ピアノで力一杯演奏してしまうと響が過剰になってしまう。そこで、たいていは、音がもたれないように軽いタッチで端正に弾かれることになる。
当然、軽みとか端正さは音楽の有り様にも映し込まれる。多彩、多様な楽曲だから、そういう味付けがハマる変奏はあるけれど、全曲を通すと微妙、というところか。

わたしはピアノによるゴールドベルク変奏曲をほとんど聴いていないので、上に書いたことは空想的な仮説に過ぎないのだけど、ペライアの演奏は上のイメージ通り。

ただ、この演奏では、軽みとか端正さが芸風としてうまく昇華されていると思う。チェンバロ風ではないけれど、ことさらにピアノ的味付けを感じさせることなく、知的に穏やかに語りかけてくるような調子。もろもろの要素が噛み合って、この演奏ならではの語り口を生み出している。

上品な雰囲気で穏やかだけど、洗練された感性と技術によってそうした空気が生みだされている感じ。運指とか全然淡々としていないし、(ピアノによるバッハ的表現という意味で)演奏様式に確固たるものがある。
上手さを上手さとしてひけらかさないで(ひけらかすことがダメとは思わないけれど)、自らのバッハ像の具現化に傾注してる印象を受ける。

ゴールドベルク変奏曲を「心地よい眠りに、穏やかに導いてくれる音楽」と捉えるなら、かなりいい線行っている演奏かもしれない(眠たい演奏という意味ではなく)。
わたし自身は、そういう曲とは思っていないのだけど・・・

ブラームス 交響曲第4番 ラトル / ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

  1. 2012/09/23(日) 19:00:59|
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2008年のライブ録音。

聴き手の情緒を刺激するような生々しさはなく、甘口でほの暗い色調のサウンドを豊かに響かせ、楽曲を楽しむかのように享楽的。

モチーフの線的な絡み合いというより、音響の色合いの変化でもって耳を楽しませる。そのように聴こえるのは、ホールの音響特性とか録音のせいもあるのだろうけれど、音響効果指向の解釈と思う。フレージングには芯がないし。
鳴りっぷりはいいけれど、ほの暗いトーンを帯びていて、まるっきり陽性という感じではない。まあでも、屈託のない演奏ではあるかな。

聴きどころは、スケール豊かで発色のいい音響美と思う。楽曲の推移に即してカラフルにドライブしていく。磨き上げられた美しさというより、パレットの色数の多さを見せつけられる。
喜怒哀楽とかの感情を揺さぶることより、色彩感とかヴォリューム感とかの、ダイレクトに感覚器官に訴える次元で、音楽のバイタリティを生み出しているような感じ。

音響効果重視の大柄な演奏は、音楽の肌理は大味に響きがち。音響美に酔えないときは、大味さが意識されてしまう。

ブルックナー 交響曲第4番『ロマンティック』 テンシュテット / ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

  1. 2012/09/19(水) 12:54:05|
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1981年のセッション録音。柔らかい音調ながら、高音がやや強調されている感じで、ところどころでけたたましく響く。

サウンドの面では、適度なブレンド感はあるものの、フレーズの絡まり合う様子を鮮明に聴かせようとする意志が強い。
特に静かな場面では精妙さが重視される。暗めの色彩感による濃い目の表情。
一方、盛り上がる場面は豪快で、一体として大きく響かせるというより、各パートの生々しい鳴り具合で昂揚を導き出す。
音楽の息遣いとしては、壮大に響く場面は深いけれど、静かな場面では繊細な息遣い。局面毎に切れ味よく切り替えていく。
つまり、安定した深い息遣いで豊かな流れを形作るとか、溶け合わせたサウンドで豊穣な雰囲気を醸し出す、というタイプの演奏ではない。

ベルリン・フィルだけに、決め所での威力は痛快。特に第1楽章は聴いていてテンションが上がる。アンサンブルは、精緻というほどではないけれど、十分に芸は細かい。
整ったフォルムの中で、精度と鮮度の高い表現が展開されていて、爽快な仕上がりだと思う。ずっしりとした手応え、みたいなものは無いかもだけど。

モーツァルト レクイエム  ヴァイル / ターフェルムジーク他

  1. 2012/09/15(土) 23:57:44|
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1999年のセッション録音。ピリオド楽器・奏法による演奏。

少年合唱が起用されていて、声の質として女声合唱より薄く軽く響くけれど、演奏全体が軽快かつキビキビと進められるせいか、少年合唱のデメリットを感じない。そのメリットの部分、軽やかで柔らかいところがこの演奏の味わいにつながっている。

演奏時間からするとかなり速い演奏と言えそうだけど、進行はいたってスムーズだし、サウンドの柔らかさもあってか、先を急ぐような感じは受けない。
また、各パートをバランス良く立体的に鳴らすので、力強さ・量感はそれなりに感じられる。

ブレンド感の強い柔かな響きのせいか、彫りの深い劇性は望みにくい。磨き上げられたサウンドの美しさに酔えることもない。
が、淡白な演奏というわけではなくて、自然体風な歩調を乱さない範囲で歯切れのよい表現が繰り広げられている。マイルドなサウンドに紛れがちながら、細かいところまで行き届いているし、緊張感や力感も備わっている。

押し出しの強い演奏が多くて、ついついそういう曲のように思い込まされがちだけど、適切なバランスはこのあたりなのかもしれない、と思わなくもない
初めて聴いたときはずいぶん地味に感じたけれど、聴く度にジワジワと親近感が増す録音。

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